系の分類(解放系・閉鎖系・断熱系・孤立系)

外界との間で物質の移動を許す系は開放系(開いた系、open system)、物質の移動を許さない系は閉鎖系(閉じた系、closed system)と呼ばれる。閉鎖系のうち物質の移動に加えて熱によるエネルギーの移動も許さない系は断熱系(adiabatic system)と呼ばれる。さらに断熱系のうち、物質の移動や熱に加えて、仕事によるエネルギーの移動も許さない系、つまり、あらゆるエネルギーの移動を許さない系は孤立系(isolated system)と呼ばれる。 外界とのエネルギーの移動に制限がある系では、その制限に応じた法則が成り立ち、孤立系ではエネルギー保存則、断熱系ではエントロピー増大則、閉鎖系では質量保存則[注 1]が成り立つ。
注 1 相対論的な質量のエネルギーへの転換は考えない場合に限る。

ご提示いただいた文章は、熱力学における「系(システム)」の分類と、それぞれの状態で成り立つ「物理法則」について説明したものです。

少し硬い表現が多いので、情報を整理して直感的に理解できるよう解説します。


1. 系の分類まとめ

「系」とは、私たちが注目している空間や物体のことです。それ以外の外側の世界を「外界」と呼びます。系と外界の間で「物質」「エネルギー(熱・仕事)」がやり取りできるかによって、4つに分類されます。

系の種類物質の移動熱の移動仕事の移動特徴
開放系何でも出入りできる(例:蓋のない鍋)
閉鎖系×物質は閉じ込められている(例:蓋をした鍋)
断熱系××熱を通さない(例:高性能な魔法瓶)
孤立系×××外界の影響を一切受けない(例:宇宙全体)

2. それぞれの系で成り立つ法則

それぞれの系には、出入りが制限されるからこそ成り立つ強力なルールがあります。

① 閉鎖系:質量保存則

物質が外に出られないため、系の中にある物質の総量(質量)は変化しません。

※注釈にある通り、アインシュタインの相対性理論($E=mc^2$)で質量がエネルギーに変わるような特殊なケースは除きます。

② 断熱系:エントロピー増大則

熱の出入りがない状態では、系の中の「乱雑さ」を表すエントロピーは、時間が経つにつれて増え続ける(あるいは変化しない)という法則です。これは「熱いものと冷たいものを混ぜると、勝手に均一になるが、逆には戻らない」といった不可逆性を意味します。

③ 孤立系:エネルギー保存則

物質も、熱も、仕事(物理的な押し引き)も一切出入りしないため、系の中にあるエネルギーの合計(全エネルギー)はずっと一定に保たれます。


💡 分かりやすく整理するポイント

この話の核心は、「何を禁止するかによって、守られるものが決まる」という点です。

  • 物質を禁止すれば → 重さが守られる(質量保存)
  • を禁止すれば → 秩序(の崩壊プロセス)が制限される(エントロピー増大則)
  • すべて(物質・熱・仕事)を禁止すれば → エネルギーの総量が守られる(エネルギー保存)

物理学では、このように条件を絞り込むことで、複雑な自然現象をシンプルに捉えようとしているんですね。

4つそれぞれの系に対してこれらの法則が成り立つ(◯)か成り立たない(✕)かを整理して表にして

ご提示いただいた文章に基づき、4つの系とそれぞれの法則が「その系において(系内の総量として)成り立つか」を整理しました。

結論から言うと、制限が厳しくなるにつれて、守られる法則が一つずつ増えていく「階段状」の構造になっています。

系と法則の対応一覧表

系の種類質量保存則エントロピー増大則エネルギー保存則備考
開放系全てが出入りするため、系内の量は変化する
閉鎖系物質が出入りしないので、質量が守られる
断熱系熱が出入りしないので、エントロピーが減らない
孤立系何も出入りしないので、エネルギーも一定

解説:なぜそうなるのか?

表の見方をさらに分かりやすく補足します。

  1. 質量保存則(閉鎖系以上で◯)
    • 物質の出入りを禁止した瞬間から成り立ちます。閉鎖系、断熱系、孤立系はすべて「物質を通さない」ため、これらすべてで◯となります。
  2. エントロピー増大則(断熱系以上で◯)
    • エントロピー(乱雑さ)は、熱の出入りがあると外へ捨てることができますが、「熱の出入り」を禁止(断熱)すると、系内では増える一方になります。そのため、断熱系と孤立系で◯となります。
  3. エネルギー保存則(孤立系のみ◯)
    • エネルギーは「熱」だけでなく「仕事(物体を動かす力など)」としても移動します。熱も仕事も物質もすべて禁止した「孤立系」ではじめて、系内のエネルギー総量が完全に一定に保たれます。

このように、「外との境界線をどれだけ厳重に閉じるか」によって、その中で守られるルールが追加されていくイメージで理解すると分かりやすいです。

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